第15回 2005年08月29日
弥生期には製鉄技術がなかったか-製錬滓・精錬滓の判定をめぐって(新井宏)
我国での鉄の利用は縄文末期から始まっているのに、国内で製鉄が行われた確実な証拠は古墳時代後期まで見つかっていない。本研究では、弥生期に我国で製鉄が行われたかどうか、鉄滓の分析結果に着目して検討した。
従来の研究では、弥生期のすべての鉄滓は鉄の二次加工時にでる「鍛冶滓」としているが、本研究で鉄滓のできる雰囲気(酸化・還元)に着目し、さらに微量元素のコバルトの多少に着目してデータを分類し直したら、弥生期の鉄滓でも製鉄をした証拠の「製錬滓」である可能性のあることが分かった、としている。
本研究に対する考古学者や技術者からの反応などについて質疑・討論が行われた。