第78回 2018年11月6日 

 

ペルシャとイスラム建築の比較文化論(小原理一郎)

 

これまで見学し取材していたイスラム関係の多くの写真と、かつての中近東イスラム地域でのビジネス経験、昨年のイラン遺跡観光、一昨年の北インド仏跡、ヒンズー、イスラム観光などの体験をもとに、イスラム建築について集中的に研究を重ねた結果を報告した。

第1部として古代ペルシャ、アケメネス朝、ササン朝ペルシャ、イスラム化したイランの建築遺跡、第2部としてイスラム化世界、イベリア半島スペイン、マグレブ地域、イタリア、オリエント、アナトリア、インドなどのイスラム建築を比較検討した。

古代ギリシャ、ローマ、エジプト、ペルシャなどの建築技術の交流があり、それぞれの地域の環境と建築材料などを充分に勘案して巧みにそれぞれの地域特性を有したイスラム建築として仕上げられている。

イスラム建築は古代ギリシャ、ペルシャ、アラブ、オリエント、トルコの文化と技術が混交した集大成ともいえる。これぞ典型的なイスラム建築の代表であると定義することは難しいともいえる。

講演の後、「建築を通してみたイスラム文化論」というテーマの方が良いのではと提案されたが、基本的には底辺でコスモポリタン的なペルシャ文明の技術がイスラム化世界で<イスラム建築>として各地域でそれぞれの特性を生かしながら素晴らしい建築作品として結実したといえる。敢えて言えば「建築を通してみたペルシャとイスラム文化」と言い換えても良いと思う。