第34回 2009年02月17日 

 

鷲崎弘朋著『木材の年輪年代法の問題点』について(中辻輝紀)

 

鷲崎論文では、飛鳥・古墳・弥生時代について、通説より年輪年代の方が約百年古く出ることを9つの事例で説明している。この論文の幅広い考察および年輪年代法に対する問題点の指摘については高く評価されるものの、年輪年代と比較している土器や鏡の年代については科学的根拠が明確でないなどと講師から指摘があった。また、新井宏氏から、論文の趣旨の年輪年代が約百年古く出るという疑いは否定されると3つの反証をあげて説明があった。今後、年輪年代法の基礎データが公開され、活発な議論の起こることを期待したい。