第55回 2013年04月26日 

 

古代日本(倭国)の船(舟)と航海(高川博)

 

本テーマは、島国である我が国にとって最も重要な研究テーマの一つであるにもかかわらず、安易な推論しかしてこなかった古代史や考古学の現状の問題点を指摘し、合理的な推察を通じて古代の船と航海の歴史の復元を試みたものである。現状の問題点について、俗説例など論理性を欠いた論説例を示した。船(舟)の構造の変遷について、丸木舟(縄文時代に出現)、準構造舟(弥生後期から出現)、構造船(6世紀初めに出現、外洋渡海用は7世紀半ばに出現)の解説があった。航海については、実験航海3例の紹介の後、4世紀から10世紀の航海例(高句麗の戦い、倭の五王の遣使、白村江の戦い、遣唐使など8例)を検討した結果について解説があった。最後に、古代の海上交通三原則として、「移動に関する集団意思の存在と能力の必要性」、「水上交通手段の確保」、「航海ルートの確保」を提唱した。