第52回 2012年09月04日 

 

考古学における科学的な議論とは--「年輪年代批判」を事例として--(新井宏)

 

講演では前回の鷲崎氏の講演に対して16の反証と6つの反論を挙げて、鷲崎氏の言う年輪年代の「旧い標準パターン」は、AD640年以前が100年古く狂っているとは言えず、炭素14年代と年輪年代の間には整合性があるということを説明した。講演は4つの検証(炭素14年代と年輪年代からの検証、標準パターンの接続ミスの検証、試料のサンプリング条件からの検証、論理的な問題点からの検証)からなり、鷲崎説を肯定しうるデータは皆無であると結論付けた。

科学的な論文にあっては「結論が正しいか否か」よりも論証過程が「論理的か否か」の方が問われる、とのことであった。