第19回 2006年05月12日 

 

ヒトのルーツとDNA(その基本的な考え方)(中辻輝紀)

 

ヒトのルーツ探しに使用されるDNAには、細胞の中のミトコンドリアDNAと核(染色体)DNAがある。これらDNAを構成する塩基が突然変異で年代とともに変化することに着目して、人種間の近縁度や古代人と現代人との近縁度などの研究に用いられている。

最近では、データの統計処理の問題が指摘され、有名な「イブ仮説」が否定されつつあるとか、人種の「系統樹」の整理の仕方が恣意的に思われるなどの指摘があった。これらのことから、今後は生物学や統計処理方法の更なる研究、そしてそれらの分野の専門家の参画が必要であろうという議論があった。