第18回 2006年03月06日 

 

鉛同位体比から見た弥生期の実年代について(新井宏)

 

主に弥生時代前期末から中期初頭の青銅器と、中国の青銅器との鉛同位体比を比較した結果、中国で商周時代に使われていて春秋・戦国・秦・漢時代には使われていない青銅が、弥生前中期に突然使われだし、その使われた期間が短いことが分かった。このことから「史記」にある紀元前284年に燕国将軍の楽毅が斉の宝物類(商周時代の青銅器)を戦利品として奪ったものが、リサイクル品として日本に伝わったのではないかと推論した。これに基づき、日本に伝わるのに約30年要したとして、弥生時代前期末から中期初頭は紀元前250年頃という試案を提案している。