第13回 2005年05月09日 

 

鉛同位体比から見た三角縁神獣鏡の製作地(新井宏)

 

論文では、「同じ時期、同じ場所で使用された原料による青銅器の鉛同位体比は極めてよく似ている」という認識のもとで、三角縁神獣鏡製作地問題を取り扱っている。

結果として、漢鏡6・7期の舶載鏡の中にも仿製鏡と鉛同位体比の分布が一致する多くの複製鏡が含まれている可能性があり、その複製鏡を除いた真の中国製舶載鏡の鉛同位体比の分布と舶載三角縁神獣鏡の分布は一致せず、むしろ複製鏡(仿製鏡)の分布と一致することを示した。このことから、三角縁神獣鏡の大部分は仿製鏡と同じ地域で製作された可能性が高いと結論付けている。