第 4回 2003年10月20日

 

放射性炭素(14C)による年代測定法について2(中辻輝紀、米丸啓介)

C3、C4植物のCO2固定における炭素同位体の選択性について(白名一雄)

さまざまな年代測定法について(中辻輝紀)

 

主たる話題は「放射性炭素(C14)による年代測定法(その2)」であった。前回の議論で残された疑問点について、歴博の今村教授にヒヤリングした結果を報告・議論した。内容は、主に「放射性炭素による年代測定法の信頼性」に関わるもので、「半減期のばらつきの原因」「β線計測法とAMS法の測定精度の違い」「年代較正の具体的方法」「植物による炭素同位体の取込み比率の違い」「データの確率論的処理方法」「試料の取り扱い方法」「計測機関の現状」などであり、活発に質疑応答がなされた。その結果、当分科会として「放射性炭素による年代測定法は、古代史年代測定法としてはかなり有力である。しかしばらつき要因もまだまだあるので、測定結果の積み重ねが必要である。」という結論に至った。

第2の話題として、植物によって炭素同位体の取込み比率が異なり、13C/12C(14C/12C)が大気中より低くなるC3植物(90%以上の植物)と13C/12Cが大気中と同じC4植物(トウモロコシ等成長の早い植物に多い)があるとの紹介があった。その原理についての説明があり、活発に議論された。

第3の話題として、11種類の年代測定法の原理についての解説があり、数千年前を対象とした場合の年代測定法としては、本会で取り上げた「年輪法」「放射性炭素法」以外には、まだ実績はあまりないが「古地磁気法」くらいが可能性のある方法との説明があった。